小さな町で開催されるお祭りにも注目

日本には、夏の暑さを振り払うような激しいお祭りから、厳粛で優美なお祭りまで多種多様なものがあり、どれも魅力があります。大規模なお祭りも楽しいですが、町の商店街で開かれるような、小さなお祭りも風情があっていいのではないでしょうか。

小さな町が企画し、地域に根差しているお祭りとしておすすめなのは、高知県香南市赤岡町で毎年7月末に開催される土佐赤岡絵金祭りです。絵金とは、絵師金蔵の略です。金蔵はもともと土佐藩御用達の狩野派の絵師でしたが、狩野探幽の贋作を描いたという疑いをかけられ、追放されてしまいます。

赤岡の町にたどりついた金蔵は、酒蔵を作業場として絵を描き続けました。町絵師として、庶民に頼まれた絵をたくさん描いたそうです。絵金祭りでは、150年近く前に金蔵が描いた芝居絵屏風という、華やかな屏風絵が展示されます。特に、夜の電燈に浮かぶ芝居絵屏風の迫力は圧巻です。また、その芝居絵に描かれたものを再現する歌舞伎も上演されます。

お祭り期間中は、金蔵がアトリエとしていた酒蔵を開放して、ふるまい酒やビアガーデン、お化け屋敷なども催されます。大きなお祭りではありませんが、赤岡町の人々がその土地の偉人に思いをはせて運営している、魅力的なお祭りです。

展示される芝居絵のなかには、高知県の保護有形文化財となっている作品もあります。芸術鑑賞もできるこのお祭りで、夏の暑気払いしてみてはいかがでしょうか。